動物園フォトに必要なレンズの焦点距離とは?
ひとくちに動物園といっても被写体となる動物はさまざまです。
身体の大きさやその動物たちがいる檻の広さによっても必要となる焦点距離は変わってくるでしょう。
柵から比較的近い位置で見られたりガラス越しの調子近距離で撮影できるのならば、標準域のレンズやスマホでも問題はありません。
しかし被写体まで距離のあるサル山や、体が小さくて動き回るミーアキャットなどはどうでしょう?
やはりバズーカみたいなレンズを担いでいかないと話にならないのでしょうか?
今回は望遠の中でも比較的安価に手に入る、タムロンの焦点距離18-300mmのレンズでどの程度動物の写真が撮影できるのかをご紹介します。
カメラ&レンズ
カメラはフジフィルムのX-S10、センサーサイズはAPS-Cで画素数は2,610万画素です。
5軸6段のボディ内手ブレ補正が搭載されています。
レンズはタムロン18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061)。
こちらも手ブレ補正が入っています。
この組み合わせで重さは1,080g。
動物園では長時間歩きながらの撮影になるかと思いますが、X-S10はグリップが深く握りやすいので重さはそこまで問題にならないように思います。
持ち物はこれのほかには替えのバッテリーのみ。
三脚とNDフィルターは使いません。
35mm換算で27-450mmとなるこのレンズ、広角域~望遠域まで十分撮れるような気がするが果たして…
関東屈指の広さとロケーションを誇るズーラシアで実験
ズーラシアは1999年にオープンした横浜市旭区の動物園です。
日本で3番目に広い動物園らしく、スタッフさんに聞いたところ全て見てまわるのに3時間かかるとのこと。
実際撮影しながら1週したら4時間半かかりました 笑
世界の気候帯・地域別に様々な動物たちが配置されていて、かなり自然豊かで雰囲気があるので歩道を歩くだけでも楽しかったです。
作例紹介&いい感じに撮るコツ
あくまで自分なりに、ということで前置きだけさせてください。
まず気を付けるポイントはシャッタースピード。
望遠で発生しやすい手ブレ、動物が動くことにより発生する被写体ブレを防ぐためになるべく高速に設定します。
また、1/焦点距離 以上のシャッタースピードで撮るとブレないという目安もよく耳にします。
今回のレンズだと望遠側の最大が換算450mmなので、シャッタースピードは1/500くらいにしておけばブレにくいかと意識していました。
とはいいつつ、最近のレンズは優秀でこの限りでもないみたいです。
手すりにレンズの先端を置いて安定させられるときとか、ほとんど動かない動物なんかを撮影するときには1/焦点距離を下回っても大丈夫かなと感じます。
幸い撮影日はめっちゃ晴れていたのでシャッタースピードを稼ぐことができました。
F値は意識せずに低め、ISO感度は大体上限1600のオートにしています。
ゾウ

10mくらい離れた場所にいました。
迫力が出るかなと思い鼻が切れない程度にアップで撮影しました。
一応3分割構図の分割点に目がくるようにしています。
「四隅すべてを埋めると見づらい」と広告デザインでみたことがあるので左上はスペースを残しました。
これが写真に流用できるポイントなのかはわかりませんが 笑
現像は影がつぶれないようにやや暗めにし、左上の空きスペースに線形グラデーションで影をつけました。これによって像を強調できればという企みですが効果のほどはわかりません。
トラ

洞穴みたいな場所の一部がガラス張りになっていて、そこからトラが撮れました。
ガラス1枚隔てた場所にいたのですが、次から次にお客さんがトラとの記念撮影を撮りにきます。
人混みの隙間を縫ってすこし遠巻きから撮影。
暗かったのでシャッタースピードを落としました。
しゃがんで膝にレンズの先を乗せ、なるべくブレないように撮ったつもりです。
ガラスの汚れが目立たないように、とにかくアップにしました。
クールな感じにしたかったので現像で色温度を青っぽくして、余計な背景は飛ばしました。
目元も円形グラデーションで明るくしています。
レッサーパンダ

粘ったけれどちょっと微妙な1枚です。
本来見る場所からは木の枝とケツしか見えなかったので、回り込んで木々の隙間から狙いました。
お昼寝をしていたようで、寝起きのノビみたいなのが撮れたらなと思ったのですが残念。
緑の前ボケと木漏れ日は良い感じだと思ったのですが、ポーズがいまいちでした。
どうしても撮りたい動物に対しては忍耐力が問われますね。
ペンギン(不在)

広角端で撮ったものがこれしかなかったので一応エントリー、ここにペンギンが飛び込んでくれば最高だったのですが 笑
肉眼で見てもそんなに綺麗だと思わなかったんですが、帰ってきて現像したらいい感じになりました。
なんかゲームみたい。
もう少し粘ればよかったです。
オオワシ

5~6mくらいのところに仲良く2羽が並んでいました。
鳥はけっこう細かく動くのでシャッタースピードは気持ち高め、こちらに背を向けた2羽が目を合わせる瞬間を狙いました。
カメラとオオワシの間にあるフェンスを消すために、なるべくフェンスに近い位置から撮影しました。
はじめてやってみたけど結構うまく消せた気がします。
もう少し背景をぼかせれば後ろの金網も消せたんでしょうけど、、、
現像時に少し傾けてトリミングしています。
右のオオワシをオスだと仮定して、頭の高さに差をつけました。
慎重さがあるカップルが目を合わせているみたいなイメージ。

アップでも1枚。
ここまで寄れれば十分満足です。
カンガルー

真下5mくらい。
寝起きな顔がかわいい。
現像時に少しだけ左側の影を強調しました。
光と影を覚醒と眠りに見たて、中間にいるカンガルーはいままさに微睡んでいるそんな感じ。
キツネ

ガラス越し撮影。
ガラスの汚れでちょっとモヤってたので、現像時に少しコントラストを下げてキツネの質感もふんわり明るくしてみました。
ぽかぽか陽気で可愛く寝てる様子が撮れましたが、やはりガラスが天敵。
コウノトリ

3mくらいの近場、良い感じの木のうえでポーズをとるコウノトリ。
顔の向きが頻繁に変わるのでカメラを構えてじっと止まるのを待ちました。
檻はほとんど消せていていい感じ。
少し檻から離れて望遠気味に撮影することで背景を整理しました。
やっぱり人工物は少しでも入らない方がいいですね。
足のタグみたいなのは消すか迷いましたがそのままに。
一緒に撮影をしていた友人は200mmのレンズでしたが、同じように十分寄って撮れているようでした。

前景に草をいれてもう一枚。
もうちょっとだけ前景の草をコウノトリの体にかぶせればよかったかなと思います。
チンパンジー

よくある猿山みたいなところにいました。
距離にして7~8m程度、手前に檻はなかったのですが、すぐ右にフェンスのようなものがあったので映らないように調整してこの構図になりました。
ギリギリ日陰だったのでこの時ISO感度は3200上限のオートに設定。
「いいぜ……撮ってみな」って言われているようです 笑
ガビチョウ(野生)

道すがらみかけたガビチョウ。
4mくらいの場所でさえずり続けていたのでついでに撮りました。
若干クロップしていますが、こんなに近くまできてくれたことが初めてだったので感激。
ガビチョウのほかにもキセキレイやスズメ・ツバメ・ムクドリ・鳩をみかけました。
ミーアキャット

ガラス越しですが綺麗に撮れたと思います。
結構せかせか動き回っていて撮るのが大変でした。
エサが客に近いガラス沿いに撒かれていて、引きで撮るとガラスの塀感満載になってしまうし、背景がごちゃついていたので顔のアップを取りました。
西日が被写体にあたって、毛がふわっと際立っているようにみえます。
チーター

被写体までの距離はこのチーターが一番遠く、約10mほど。
サバンナの動物たちが過ごすひときわ広大なエリアにいました。
1割ほどクロップしているがこれも十分寄って撮れているように思います。
さすがに顔をアップでとはいかず、欲を言えば600mmくらいあればなぁとはじめて物足りなさを覚えました。
感想
換算450mmで十分な場面がほとんどだったので、悔しい思いはしないで済みました。
ただ動物たちが広すぎるエリアにいる場合は、若干の物足りない感がでてきます。
まあこれは日本でトップクラスに広い動物園ならではで、基本的には猿山みたいな距離感までなら問題なく撮影を楽しめるはずです。
少し欲を言えば、APS-Cよりフルサイズのセンサーのほうが明るくシャッタースピードを稼げるので、より多彩な表現、たとえば水しぶきとかをうまく撮れるのではと考えてしまいます。
まあそれを言ったらf2.8通しの望遠レンズで~とか、テレコンつけて~とかキリがないですね。
個人の意見ではありますが、普通の動物園だったら最低200mm、500mmくらいで十分、800mmあれば無敵な気がしました。