採用担当者とたくさん会ってきた
僕は過去に5年間、広告代理店に勤めていた。
その会社は自社で求人情報誌を発行していたので、企業の採用担当者と話す機会は頻繁にあった。
「人が集まらないならウチの媒体に掲載しませんか?」という営業をして、予算に応じた掲載枠で企業をアピールする広告を作っていくというのが僕の仕事だった。
今回は元求人広告の営業で、現在は求人広告を出稿する側の僕が、民間の求人媒体で仕事を探す際に気をつけて見るポイントを私見たっぷりで紹介しようと思う。

なぜ民間の求人誌に掲載するのか
どういう経緯で人材を募集することになったのかは様々だが、予算を投じて民間の求人情報誌(以降「求人誌」と呼ぶ)に掲載を決めるのにはある程度きまった理由がある。
最も多い理由は「ハローワークだけじゃ集まらないから」だ。
掲載無料のハロワだけで集まればそれに越したことは無いのだが、ハロワは完全にパワー勝負の世界である。
それは企業のもつ純粋な雇用条件での戦い。
求人票にごまかしやふわっとした表現は認められないため、どの企業も事実に基づいた募集(あたりまえなのだが)でもって求職者に振り向いてもらわなければならない。
パンツ一丁にされてランウェイを歩かされるようなもんである。
ハロワだけで人材が簡単に確保できるのは、着飾らなくてもカリスマオーラあふれる有名企業か、ガチガチに条件の良い企業だけなのだ。
そのほか「大量募集だから」「急遽の募集だから」といった理由もあるが、ほとんどの場合は前述の理由で掲載に踏み切っている。
求人誌にはヤバい企業ばかり?
では求人誌にはブラック企業しかないのか?というとそうでもない。
ハロワで勝てないながら、ある程度普通の企業も存在する。
ここで言う「普通」は個人的な感覚なのだけれど、「標準的な条件でどこか1,2点妥協ポイントがある」みたいな求人のことである。
「この条件で残業がなければ全然良いんだけどなぁ~」とかそんな感じ。
求人誌を見ている時点で引く手あまたの人材でないってことじゃん?そのくらいは妥協しようぜ!
むしろアタリだって!ここに応募しよう!
といえる求人はタイミング次第で結構でてくるもんである。
僕みたいにどこかで人材1軍候補から零れ落ちた人間にとってはこれが狙い目なのだけれど、求人誌では見つける作業が難しい。
もともとハロワと違いある程度表現に幅があるうえ、営業マンも企業からお金を貰ってる以上広告効果を出したいもんだから、かなり嘘ギリギリの書き方になっている求人も多々あるからだ。
昔とちがっていまは求人誌もかなりまともになってきているように思うけど、このあたりは知らないと損をしてしまうので注意が必要である。

注意したほうが良いポイント
週休2日制
知っている人が多いと思うが「完全週休2日制」とは全く別物である。
月に1回でも休みが2日の週があれば「週休2日制」といえるので、休みの少ない会社は大体「休日/週休2日制(シフト制)」みたいに逃げている。
完全週休2日制と勘違いされることも知っている。
年間休日数をチェックしよう。
個人的には108日あれば「まあ、うん。いいか」という感じだ。
給与の上限
月給○○円~××円のような書き方の場合、上限は過去に支払った一番高い月給を記載している場合がある。
ハローワークでは上限額が不自然だと証明が求められることもあるが、求人誌の場合自己申告だ。
嘘の可能性もあるし本当だとしても現実的に不可能に近いので、基本的に給与は下限を重視しよう。
月給25万円~、通勤手当2万円、職務手当3万円
みたいな書き方も要注意。
月給30万円になるかと思いきや、月給25万円(通勤手当2万円・職務手当3万円を含む)という意味だったということもある。
それと求人誌における「〇〇円~」の「~」はただのかざりだと思ったほうが良い。
収入例
Aさん ○歳 マネージャー 月収××円
Bさん ○歳 入社3年目 月収××円
みたいな表記があるがあてにならない。
嘘ではないが超優秀なイレギュラーを書いているだけで、実際に多くはそうはいかない。
時間をかけて超出世すればその位の給与になる、くらいの感じで見ると良い。
ほとんどの社員が入社3年で年収○○円以上に!
みたいなところは激務で大体3年保たない。
写真
大体求人用に撮影しているため、100%ありのままではない。
オフィスは綺麗な場所を選んで写しているし、現場は実際は誰も笑ってない。
もちろん写真の可愛い女の子やイケメンもその支店にはいない。
企業によってはそれとわからないようにモデルを雇って広告素材を撮っている。

「短期OK」
期間が名言されていない場合注意が必要。
短期OKにするだけで閲覧数を稼げるのでとりあえず入れている場合がある。
応募の前に問い合わせて詳細を確認するしかない。
○○や××といった簡単なお仕事をお任せします!
「始めの数日は」という意味で「簡単なお仕事だけ」という意味ではない。
しかも「○○や××」は業務内でも超簡単な2つで、他は重労働というパターン。
indeedの勤務地
求人サイトのindeedは他の媒体から自動でデータを吸い取って掲載している場合が多い。
そのため仮に、東京のA社がタウンワーク北海道版に「東京で働きませんか?」という掲載をした場合、indeed上では北海道の求人として検索にかかることがある。
ややこしい話だが、詳細を見れば勤務地がしっかりと書いてあるため要確認。
また、企業側も言ってしまえばindeedに「勝手に」掲載されている状態なので、indeedに応募しても採用担当までつながらない場合がある。
転載元が書いてないか確認しよう。
求人誌はカオスな世界でもある
いまだ曖昧な表現をしている求人は多々見受けられる。
勘違いさせられて応募をしても時間を無駄にするだけなので、キナ臭い求人はスルーしてしまおう。