Twitterでおもしろいハッシュタグをみつけた。
#名刺代わりの小説10選 というもので、このハッシュタグをつけて自分の好きな小説を10作挙げるというもの。
思いつくままに10作を記して投稿したわけだけれど、思い返すとこれらは”自分で読んで面白かった”と同時に”人に勧めて「面白かった!」と言ってもらえた”作品でもあった。
そこで今回は、簡単なあらすじと共に備忘録としてここに10作の小説を紹介させていただく。
どれも有名な作品ではあるけれど、知らない作品があったならぜひとも読んでみてほしい。
趣味が合いそうな方は僕にもおすすめを教えてもらえたらと思う。
「殺戮にいたる病」我孫子武丸
永遠の愛を男は願った!
恐るべき殺人鬼の魂の軌跡
永遠の愛をつかみたいと男は願った―。
東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!
くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。
純粋に自分が一番おすすめしたい本がこちら。
読後あまりの衝撃に頭が真っ白になり、しばらくのあいだ呆けることになる。
脳が正気を取り戻したとき、波のように訪れるカタルシスは二度と味わえないレベル。
詳しく語ると作品の面白さを損なってしまうが、まだ事前情報を持っていないならぜひそのまま読んで欲しい。
ポイント
・とあるジャンルの最高峰!
・グロテスクな描写が多い…
・静かな部屋で読み終わりましょう
とにかく読んで欲しい。
読み終わってから半開きになった口がふさがるまでの時間で勝負しよう。僕は10分かかった。
「十角館の殺人」綾辻行人
”たった1行”が世界を変える
ミステリ史上に残る大トリック
十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。
館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。
やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!
前述の我孫子武丸と同じく「新本格派」と呼ばれる作家が描く、いわゆる「クローズドサークル」もの。
個性豊かなメンバーが山荘かどこかに集まったら殺人がおきて、電話線が切られ車はパンクし警察も吹雪でこられない…そのうち第二の殺人が起きて「アタシは殺人鬼のいる部屋で寝たくないわ!」→死ぬ。みたいなアレがクローズドサークル。
それのレベル100。
ポイント
・最近コミカライズしたよ
・ミステリ好きなら読むべき一冊
ラスト1行の切れ味が凄すぎる。
「黒い家」貴志祐介
この人間には心がない
若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。
ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。
ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。
信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに……。
保険金を貰うために指や腕を切り落としたりするサイコパスに関わっちゃう話。
ホラー小説だけどお化けとか超常現象は一切出てこない。
そこに描かれているものはひたすらに人間の狂気だけである。
音や画でビックリさせるようなホラー映画とはわけが違う、リアルで身近な恐怖を味わえる。
ポイント
・第4回日本ホラー小説大賞受賞作
・大竹しのぶ主演で映像化
結局、いちばん怖いのって人間なんだと思わされる。
「新世界より」貴志祐介
偽りに神に抗え
1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖(かみす)66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。
周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。
「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。
僕が寝食を忘れて読み明かしたのは後にも先にもこれだけ。
上・中・下と1138ページを一気読みした。
明らかとなっていく謎を追いかける緊張感と最後に明かされる真実……。
読了まで世界から抜け出せなくなるため、連休に読み始めるのが吉。
ポイント
・全3冊という大ボリューム
・コミカライズ版とアニメは個人的に微妙だった
バケネズミっていうとっても可愛いキャラがでてくるよ!
「人間椅子」江戸川乱歩
「それは、ただ、触覚と、聴覚と、そして僅かの嗅覚のみの恋でございます。」
女性作家の佳子は、ファンレターに目を通してから創作にとりかかることが日課だった。
ある日「私」から1通の手紙が届く。それは「私」の犯した罪悪の告白だった。
人間が内部に入り込める椅子を作っちゃった椅子職人の話。
誰にも気づかれることなく椅子となった「私」が、女性が座った時の感触を椅子の内側から楽しむ変態さといったらない。
32ページの短編で描かれる、気持ち悪さから意外なオチまでの完成度がめちゃくちゃ高い。
ポイント
・変態の描写をさせたら右に出るものなし
・著作権が切れており無料でも読める
サクッと読んで「乱歩も面白いよねぇ」って言っとけばいい
「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス
超天才に変貌していくチャーリイの恋と冒険を描く感動の傑作長編
32歳になっても幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。
そんな彼に、夢のような話が舞いこんだ。大学の偉い先生が頭をよくしてくれるというのだ。
この申し出にとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受けることに。
やがて手術により、チャーリイは天才に変貌したが…超知能を手に入れた青年の愛と憎しみ、喜びと孤独を通して人間の心の真実に迫り、全世界が涙した現代の聖書(バイブル)。
経過報告として綴られるチャーリイの手記をメインに物語は進む。
始めのうちはすべて平仮名で、知能を得ていくにつれ難しい文章になっていくという表現がされており、これが非常にいい仕事をする。
周りのだれよりも頭がよくなったチャーリィは何を得るのか。はたまた何かを失ってしまうのか。
ポイント
・山Pやユースケ・サンタマリアで映像化された
・アルジャーノンはともだち
世界各国で映像化・舞台化がされている普及の名作だよ。
「容疑者xの献身」東野圭吾
その謎を、愛そう。
天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。
彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うため完全犯罪を企てる。
だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。
福山雅治主演で2008年に映画化された作品。
タイトルが表す人間の無償の愛(献身)が描写されながら進んでいくストーリーは、東野圭吾作品屈指の完成度。
長編が苦手な人は短編「探偵ガリレオ」から読むと良いかもしれない。
ポイント
・ガリレオシリーズの長篇
・累計290万部突破の直木賞受賞作
「マスカレード・ホテル」とか「白夜行」も同じ原作者だよ。
「容疑者xの献身」は東野圭吾が描いた作品の中で1番人気っぽい。
「屍人荘の殺人」今村昌弘
立った一時間半で世界は一変した。
全員が死ぬか生きるかの極限状態で起きる密室殺人
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。
合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。
緊張と混乱の一夜が明け―。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった…!!
読めばわかるが「想像しえなかった事態」によってクローズドサークルを完成させてしまう奇抜さにまずビックリ。
イロモノかと思いきやしっかりトリックも用意されていて非常に読み応えがある。
神木隆之介・浜辺美波・中村倫也で実写映画化されたのも記憶に新しい。
ポイント
・○○〇×ミステリー
・まずは原作小説を読むべし
映画は浜辺美波が可愛いだけだった……。
「六人の嘘つきな大学生」浅倉秋成
ここにいる六人全員、とんでもないクズだった。
成長著しいIT企業「スピラリンクス」の最終選考。
最終に残った六人が内定に相応しい者を議論する中、六通の封筒が発見される。
そこには六人それぞれの「罪」が告発されていた。犯人は誰か、究極の心理戦スタート。
2021年3月発行の本書で読書熱が再燃した。
それまで浅倉秋成という作家さんを知らなかったのだが、この方とにかく伏線回収がうまい!
あらすじレビューをしているのでよかったらコチラもご覧ください。
ポイント
・怒涛の伏線回収
・万人にオススメできる
二転三転する展開に、最後の最後まで気が抜けない一冊。
「硝子の塔の殺人」知念 実希人
ミステリを愛するすべての人へ
雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。
地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。
ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、
一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。
この館で次々と惨劇が起こる。
館の主人が毒殺され、ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。
さらに、血文字で記された十三年前の事件……。
謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。
散りばめられた伏線、読者への挑戦状、圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。
著者初の本格ミステリ長編、大本命!
新本格時代のクライマックスにしてフィナーレ。
まず驚いたのが最初の数行で犯行に及んだ人物が記されていることだ。
その後、時をさかのぼってその人目線でストーリーが進んでいく。
新本格派のクローズドサークルを読み進め、終盤かと思い残りのページ数をみてさらに驚く。
まだ半分……?次々と認識が覆されていく展開に、ある種の到達点を感じさせられる。
ポイント
・館
・名探偵とワトソン
・メタ要素
これは実写化待ったなし。
個人的名作オブザイヤー2021。
まとめ
好みが偏っている気がするけど、パッと思いつくおすすめは以上の10作。
基本的に人が死んで探偵が活躍するものが好きなんだなと改めて思った。
似通った好みの方からのオススメ紹介に期待。